スマートフォンユーザーが急増する中、携帯キャリア間のユーザー獲得合戦がますますヒートアップしている。特に今後は、スマートフォンユーザーに向けたクラウドコンテンツサービスをめぐる主導権争いが激しくなりそうだ。
通信会社の勢いを測る指標として、純増数とMNP(番号継続制、ナンバーポータビリティ)がある。TCA(社団法人電気通信事業者協会)の発表によると、2012年4月末時点で、新規契約数から解約数を差し引いた携帯電話純増数は、ソフトバンクが27万2700件でトップ。KDDIの24万400件が続き、NTTドコモは12万8300件にとどまった。
一方、MNPでは、KDDIが6万4900件の転入超過で、7か月連続して首位をキープ。ソフトバンクも3万9900件の転入超過だが、NTTドコモは10万3700件の転出超過となっている。こうした動向も踏まえ、各社の戦略を見てみよう。
各社とも決算は好調
2011年度決算発表によると、各社とも増収増益を果たし業績は好調だ。背景には、スマートフォンの販売台数増と合わせ、データ通信費の収益増がある。
■NTTドコモ
営業収益が4兆2400億円(前年比0.4%増)、営業利益が8745億円(前年比3.5%増)と、8期ぶりに増収増益を達成した。パケット収入は、1兆8439億円(前年比8.8%増)へと増加している。
要因には、スマートフォン端末数の拡充に加え、高速通信のLTEサービスである「Xi(クロッシー)」販売の促進による純増数の拡大が挙げられる。2011年度の純増数は212万人で、前年度比10%増を達成。それを裏付けるように、スマートフォン販売台数は882万台となり、前年比3.5倍へと拡大している。
■au
営業収益が3兆5721億円(前年比4%増)と四期ぶりに黒字へと転換し、営業利益も4776億円(前年比1.2%増)へ増大。スマートフォンの販売台数は、563万台へと増加している。
要因にはiPhone4Sの取扱いがあげられ、2011年下期を通じて首位を堅守している。MNP契約数にも大きく貢献。販売当初は使えなかった機能のバージョンアップも進め、さらに販売台数を伸ばしている。このMNP獲得に加え、解約率の減少、純増シェア拡大、データARPU(加入者一人あたりの月間電気通信事業収入)増大と、同社が期初に設定した4つのKPIは劇的に改善しており、「auモメンタムは完全回復した」(田中孝司社長)としている。
また、3M(マルチデバイス、マルチネットワーク、マルチユース)戦略も順調な立ち上がりを見せ、スマートフォンと固定のセット割「auスマートバリュー」の契約がau側66万件、固定通信側44万件と好調だ。
■ソフトバンク
営業収益が3兆2024億円(前年比6.6%増)と2年連続で過去最高の収益となり、営業利益は6752億円(前年比7.3%増)と、7期連続の最高益を達成した。スマートフォンの販売台数は非公開だが、端末販売台数は1168万台となっている。
ソフトバンクの場合は、依然としてiPhoneの販売が好調だ。モバイルデータ通信の契約者数が354万件まで増え、累計の契約者数は3351万件(ウィルコム含む)に達した。
iPhoneがauから発売されたことで解約数の増大が懸念されたが、各種キャンペーンなどにより「数万件で済んだ」(孫正義社長)と、au版iPhoneへの流出を最小限に抑えたとしている。7月にはプラチナバンドと呼ばれる900MHz帯サービスが開始されるため、通信環境の改善に期待がかかる。
第三次携帯キャリア戦争に突入
今後も間違いなく事業の大きな柱になるスマートフォンだけに、ユーザーの激しい取り込み合戦はこれからさらに加速する。スマートフォンが登場した初期の端末による第一次キャリア戦争、料金による第二次キャリア戦争を終え、市場は新たな局面を迎えようとしているのである。
それが、「クラウドコンテンツサービス」による第三次キャリア戦争と呼べるものだ。決算発表においても、各社とも今後の事業展開の柱に、クラウドコンテンツサービスの充実を掲げている。
■NTTドコモ
一般ユーザー向けの「パーソナルクラウド」、ビジネス向けの「ビジネスクラウド」、ネットワークを使って付加価値を提供する「ネットワーククラウド」を柱に据え、スマートフォンやタブレット端末とネットワークを連携して、新しいサービスの創造を目指す。
一般ユーザー向けのサービスとしては、すでに注目の音声エージェント機能「しゃべってコンシェル」をはじめ、異なる言語のユーザーがネットワーク上の翻訳機能で会話できる「通訳電話」、メールを翻訳して送信できる「メール翻訳機能」、「災害用音声お届けサービス」など、インテリジェントな機能の提供を目指す。
■au
「auスマートパス」のサービス拡充に注力する。「auスマートパス」とは、アンドロイドユーザーが月額390円で500本以上のアプリを使い放題になる人気のサービスだ。2012年3月期の会員数はすでに、100万ユーザーに達している。
来期以降はアプリの提供にとどまらず、音楽の聴き放題、映像の見放題などユーザーにとって魅力的な定額制エンターテインメントサービスも充実させていく予定だ。合わせて、スマートフォンで入手したコンテンツをパソコンやテレビ、タブレット端末でも活用できるマルチデバイス展開も推進している。
■ソフトバンク
新「三種の神器」としてスマートフォン、スマートパッドに加え、クラウド・SNSをあげた。クラウドがこれから急激に伸びる中で、最も重要なサービスとして企業向けのオフィスツールである「Google Apps for Business」に注力するという。一般ユーザーに向けた新しいサービスなどの発表はなかったが、自社の強みである「ビジネスクラウド」を中心にサービスを拡充させていくとしている。
来週にはスマートフォンの2012年夏モデルが各社から発表となり、秋には次期iPhoneの登場も噂されている。今後さらにスマートフォン市場が賑わうと同時に、各社のシェア争いはますます激しくなるだろう。果たしてどこが勝ち名乗りを上げるのか、目が離せない。
まぁ、この時代持ってない人の方が、珍しいしな!
(
Yahooニュースより転載)
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